失われた時間からの復興
2020.5.18
~ブレーキからアクセルへ。これから政治が成すべきこと~
この度のコロナウイルスによりお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみを申しあげますとともに、感染された皆さまにお見舞い申しあげます。
また、医療従事者の皆さまのご尽力、そして、私たちの生活に不可欠なエッセンシャルワーカーとして働く皆さまのお支えと、あらゆる活動の自粛にご協力をいただいている県民皆さまに心から感謝を申しあげます。
県民一丸となった取り組みにより、感染者数も抑制傾向に向かっているものとして、今後の推移に収束への期待を持ちたいところです。
我が国には、これまで様々な災害が頻繁に発生しながらも、国民の団結と知恵により乗り越えてきた歴史があります。宮城県では、その象徴が東日本大震災であり、また、最近では復興が未だ道半ばとなっている台風19号の甚大な被害もございます。
災害により失ったものを蘇らせ、取り戻すことが、復旧・復興に向けた大きな目標であり、東日本大震災ではその時間に来年で10年の月日を費やしております。
しかし、この度の新型コロナウイルスにおいては、形あるものを失ったわけでなく、私たちの多くが失ったものは「時間」であると考えます。
学校での学び、職場での仕事。それぞれが過ごす時間は、私達にとっての「生きる術(すべ)」であります。その術(すべ)こそが、生きる力であり、希望でもあります。
学校教育の現場では卒業式や入学式、部活動の大会中止など、子供たちにとっては一生に一度しかない様々な時間を失い続けている状況です。
また、会社や店の経営の見通しが立たない方、職を失う方々など、厳しい窮状に追い込まれ、未来はもとより、今この時の生きるための時間すら失われている方もたくさんおります。ウイルスに感染せずとも、2次被害ともいえる形で、万が一にも厳しい状況におかれた方々が、自ら命を落とすような事態は、何としても防いでいかなければなりません。
感染拡大の防止が何より大事なことでは言うまでもありませんが、様々な活動の自粛から社会全体が機能不全に陥り、その被害は国や地域、世代に偏らず影響が広がっております。県民皆さまの実状も極めて深刻であり、東日本大震災に匹敵する面もございます。
しかし、東日本大震災における状況と違うところは、会社や設備、営業販路など経済活動を行う形が全て失われたのではなく、すぐにでも再開できる形は残っており、「ヒト」と「モノ」だけが止まってしまっている状況にあるということです。
地域の要望に対し、柔軟にスピード感をもった対応を行っていけば、救われる方々がたくさんいることを念頭に、この度開催された議会において会派を代表し、地域の皆さまや同僚議員から寄せられた意見をもとに、ウイルス感染拡大防止と、県民生活及び地域経済への支援に関連する補正予算への質疑をさせていただきました。まずは予算成立後の速やかな対応、そして、更なるスピード感を持った各施策の展開へ、県の各部署に対する働きかけを引き続き行ってまいります。
失われた時間の中でストレスもたまり、今、全国で政治に強いリーダーシップを求める傾向が強くなっております。しかし、国や地方の政治のリーダーシップを安易に比べたり、また、自治体間にあって過度に争うような風潮も危惧しているところです。
現在、東北6県と新潟県、そして仙台市とも連携しながら行動自粛要請を行っているところですが、この連携はウイルス終息後の復興にも大いに活かしていただき、地域がその差を争うのではなく、地域間の連携、その総合力で対応する宮城県のスタイルを今後、さらに確立していただくよう村井知事には提言させていただきました。
「要請」という形で政治が社会活動にブレーキをかけたことに対し、再びアクセルを踏み込むまでが、政治の成すべき責務であります。失われた時間からの復興へ、皆さまの声を形にすべく活動してまいりますので、引き続きのご指導、ご鞭撻、皆さまからの現場の声を、私、佐々木幸士にお寄せください。
また、皆さまにおかれましては、第2波も含め、まだまだ予断を許さない状況であります。くれぐれもお体にはご自愛いただきお過ごしください。